公証役場での公証手続き

認証
11 /11 2016
認証3

 認証ネタ各論、本日は公証役場における公証です。この公証制度は、国民の私的な法律紛争を未然に防ぎ、私的法律関係の明確化、安定化を図ることを目的として、証書の作成等の方法により一定の事項を公証人に証明させる制度です。普段の生活で公証人が関わるのは土地売買の契約や遺言に関する公正証書といったものになりますが、特許事務的に問題となるのは外国に提出する私文書の認証、具体的には現地代理人の委任状や謄本の翻訳文等になります。
 外務省が認証できるものは公文書のみであることは先日のブログで説明した通りです。そこで私文書の成立の真正を提出先国に証明するために、公証人が私文書を認証し、その認証をした公証人の署名と押印が真正でものであることを管轄の法務局長が証明し、その証明に押印された法務局長の公印が真正であることを外務省が認証するという回りくどい形式を取ります。だから「公印確認」と呼ぶのですね。ちなみに余談ですが、2016年4月1日からアポスティーユ/公印確認の取得にあたっては法務局長による押印証明の省略が認められて手続が簡素化されております。それまでは外務省での申請前に管轄の地方法務局へ公文書を持ち込み、提出書類に押印されている登記官印に対して法務局長による登記官印押印証明も取得しなければならなかったので大変でした。もっとも、都内の公証役場で外務省の認証までもらう場合については、公証→押印証明→アポスティーユ/公印確認まで一度に取得できるワンストップサービスを以前から提供しておりましたので、公証役場の手続的に変わったところはありません。
 それでは外国の名称変更手続に際して認証を求められる頻度が高い委任状と謄本翻訳の公証について、特許事務所が代理人として実施する際の具体的手続をみてみましょう。

 ・海外向け委任状
 公証を受ける委任状はクライアントと現地代理人の間のものになります。従って、代理人が当該委任状の公証を受けるためには、代理自認という方式をとります。これは代理人が公証人に対し、海外向け委任状にされた署名は署名者本人のものであることを自認した旨陳述したことを公証人が認証する仕組みです。法人代表者が署名した委任状を代理自認で公証する場合には以下の書類が必要です:

  1.法人代表者によって署名された海外向け委任状
  2.登記簿謄本(弊所でよく使うのは履歴事項全部証明書)
  3.署名した法人代表者から公証手続をする代理人(個人)に対する委任状
  4.上記3の公証用委任状に押した法人代表者の印鑑証明

 ここでのポイントは海外向け委任状に公証を受けるための委任状ですね。即ち、特許事務所がクライアントに代わって海外向け委任状に公証を受けるためには、その公証を受ける正当な権限があることを公証役場に対して証明しなければならないのです。ここで用いる公証役場用委任状は、法人代表者によって署名・押印がされていなければならず、更にその印影が当該代表者によるものであることを印鑑証明で証明しなければなりません。ちなみに、この代理自認で用いる登記簿謄本と印鑑証明については希望により公証役場で3ヶ月間保存してくれます。ですので、同一クライアントの名変等を複数回実施することになっても、初回から3ヶ月以内であれば原本を再度提出する必要はありませんし、1件につき1通原本を用意する必要もありません。
 なお、国によってはこの代理自認の効力を認めず、本人が認証手続を実施しなければならない場合もあるようです。弊所では40ヶ国以上名変等を実施していますが、この代理自認が問題になったことはありません。

 ・登記簿謄本の翻訳文
 登記簿謄本の原本であれば外務省で認証してくれますが、謄本の翻訳文は公文書でないため外務省では認証できません。そこで、翻訳文と謄本をセットで私文書として公証役場で公証してもらいます。そうすることで、公証人→法務省→外務省という回りくどい順番で謄本の翻訳文を認証してもらい、外国/大使館への提出書類としての要件を充足させることになるのです。
 謄本の翻訳を専門業者に依頼した場合、上記の海外向け委任状と同様、翻訳者の委任状および印鑑証明が必要となりますが、自社で翻訳した場合には代理自認をする必要はありません。自社で翻訳し、かつ、その翻訳者自身が公証役場に行く場合には以下の書類が必要です:

  1.謄本原本
  2.謄本の翻訳文
  3.翻訳者による宣言書

 この翻訳者による宣言書とは「英語に長けているからこの翻訳に間違いはありませんよ」といった自画自賛の内容を記載した書類になり、公証人の面前で当該宣言書にサインをすれば手続きが完了します。この公証人の面前でサインするという行為が実は重要なポイントで、公証人が証明するのは原則として署名や記名押印がその人のものに相違ない、ということに留まり、その文書内容の正確さを証明する訳ではないのです。もっとも、公証人の方によっては領事認証について詳しい方もおり、翻訳文の内容と書類提出先を確認したうえで、この内容で大丈夫?UAE大使館厳しいよね?などと確認される場合もあります。各国の名変手続に慣れてくると大使館手続きに関するスモールトークを公証人と楽しめるようになります、マニアックですね。

 公証役場に支払う公証費用は委任状が¥9,500、謄本翻訳が¥11,500です。待ち時間は混雑状況にもよりますが、申請から書類受領まで概ね30分程度で済みます。公証を依頼した書類には上記の回りくどいやんごとなき認証の数々が添付され只ならぬ雰囲気を醸し出した書類になって戻ってきます。取得した認証がアポスティーユであればそのまま現地へ発送、公印確認であれば大使館へ持ち込むことになります。

 以上が公証手続に関するおおまかな内容です。次回は領事認証手続に関する総論をお届けしますのでお楽しみに。

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※ここに記載した内容はブログ公開時の情報に基いています。ご自身で作業される際には必ず最新情報を確認してください。
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